2006-02-16

山本文緒「ブルーもしくはブルー」

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ブルーもしくはブルー (角川文庫)
山本 文緒
角川書店 1996-05

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読了。入れ替わりものを続けてもう1冊。
主人公の佐々木蒼子は結婚6年目になる夫と愛の無い結婚生活を送っており、目下年下の不倫相手とも別れ話をしている。そんなとき、以前に求婚され悩んだ末に別れた男、河見と結婚したもう1人の自分と出会う。2人は1ヶ月の間、お互いの生活を交換してみることにするが...。
誰しもが1度は考えたかもしれない、「違う選択をした自分」というのが目の前に突きつけれらたら人はどう感じるかというのをとても直接的に物語にしていて面白い。どうせお互いの選択の正しさを再確認して元の生活に戻るのだろうという安易な予想は軽く裏切ってくれるし。

男にどこか拠って立とうしながら打算的な蒼子や、結婚前から浮気している夫、酔って暴力を振るう河見、やたらと甘えた甲斐性なしの不倫相手など身勝手な男どもと登場人物たちが美しくない部分を多分に見せてくれているので、夢見がちなところがほとんど無く、恋愛に対してかなり醒めた小説だなぁ。
こういった視点は女性の作家に多いような気がするんだけれどもどうしてなんだろうな。

[文庫]

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