2006-07-17

関口尚「プリズムの夏」

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プリズムの夏 (集英社文庫)
関口 尚
集英社 2005-07-20

by G-Tools

高三の主人公は、親友とともによく通う映画館で働く年上の女性「松下さん」に恋心を抱く。やがて彼女と言葉を交わすうちに、偶然ネットで見つけたうつ病の女性が彼女と同一人物ではないかと疑いだすが...。
年上の女性への憧れ、家庭に問題を抱える親友との距離感、将来への不安、青春だなぁ。学校生活をほとんど描かずに親友と松下さんの3人だけで物語を語っているのが目新しいかな。
全体通して歯切れの悪い印象ではあるものの、これは主人公側よりもヒロインの側に問題がある気がする。「鬱」になる過程が彼女のweb日記を通して断片的にしか描かれていないので、読み方によっては年上の不思議少女にしか見えないし。「鬱」というものを主題として見ると一寸薄いかも。
表紙にも描かれている冒頭のシーン、高校生、夏、自転車、海沿いの通りみたいなシチュエーションはお約束ながら大好きだ。高校時代を思い出す装置としては良作だと思う。

[文庫]

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