2005-11-29

吉田修一「パレード」

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パレード (幻冬舎文庫)
吉田 修一
幻冬舎 2004-04

by G-Tools

読了。都内の2LDKマンションで共同生活する男女5人の物語。オムニバス形式で1章づつ、それぞれの視点で書かれている。

読み終わって、兎に角居心地が悪いというか、とても落ち着かない話だ。
登場する4人は、それぞれに好感の持てるキャラクタたちなのに、彼らの暮らす日常、それぞれの関係はひどくいびつで嘘くさい。にもかかわらず、その日常が楽しげで普通に見えてしまうところがとても居心地が悪いんだ。
作者が感じている今の日常に対する違和感をディフォルメして1部屋の中に閉じ込めたみたい。
淡々とした日常の描写の積み重ねから、どこかに向かうストーリーを描く訳でもなく、魅力的な人物像を描く訳でもなく、ただ停滞する「空気」を描いて見せたってのは不思議な小説だな。
衝撃的であろうラストはそれほど「怖い」とは思わなかった。

[文庫]

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