2006-03-13

菅浩江「永遠の森 博物館惑星」

読了。先日、『五人姉妹』を読んで著者の作品に興味を持ったので買ってみた。
地球の衛星軌道上に浮かぶ、世界のありとあらゆる美術品を集めた博物館「アフロディーテ」を舞台にした連作集。そこでは学芸員たちはデータベース・コンピューターに直接接続し日夜、美の探究に勤めている。美しささえも数値化するよう最先端の科学の中でも、美とそれに携わる人間の物語はあまりにも人間臭い。それに対する主人公の在りようもとても身近で共感できるな。
『五人姉妹』でも思ったけれど、宇宙に浮かぶ博物館なんてところから物語の設定はとてもSF的なのに、描かれる光景はとても暖かく幻想的で美しいのが作者の魅力だろうか。

お気に入りは「享ける形の手」「嘘つきな人魚」そしてラストの「ラブ・ソング」だろうか。特に「ラブ・ソング」のラストはとても美しく印象に残る。
シンプルな言葉だけど、何かを見て聞いて感じて素直に「綺麗だ」と言える人間でありたいなぁ。

[文庫]

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