2006-06-16
森見登美彦「太陽の塔」
読了。初めてできた恋人にあっさり振られた、「休学中の五回生」である主人公が、「研究」と称して彼女を付けまわす導入から妄想が暴走して男汁があふれている。妄想がファンタジーと呼べるなら本書はまさに日本ファンタジーノベル大賞に選ばれるに相応しいのだろう。
まぁ、実際のところは仲間で鍋囲んだりして青春してたりもするものの、結局は世のカップルたちを憎んでクリスマスに騒動を画策するような素晴らしく救いがない喪男文学なのだけど。
後書きで本上まなみさんに「わたしごのみです」なんて言われても、喪男たちは毅然としてこの地球上に蠢くあらゆる人間たちに対して宿命的な憤りを感じ、できるだけ彼らが不幸になることを祈っていくことだろう。
物語の最初の何ページ目かにあったこの1節で思いっきり引き込まれた。
類は友を呼ぶというが、私の周囲に集った男たちも女性を必要としない、あるいは女性に必要とされない男たちであって、我々は男だけの妄想と思索によってさらなる高みを目指して日々精進を重ねた。あまりにも高みに登りつめすぎたために今さら下りるわけにもいかない、そもそも恐くて下りることができないと誰もが思いながらも口をつぐみ、男だけのフォークダンスを踊り狂った。
嗚呼、祭りは続くよ。
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