2007-03-04
樋口有介 「彼女はたぶん魔法を使う」
読了。主人公の柚木草平はフリーのライタをしながら副業に探偵のようなこともする38歳の中年男。元警官で離婚した妻との間に10歳の娘あり。
主人公は口から出てくる言葉はいちいち気障なんだけども、それが決して嫌味に聞こえない面白いキャラクタ。この物語の面白さは8割方、この主人公とヒロインたちの会話の妙で成り立っていると思う。
ストーリィ自体は、女子大生の轢き逃げ事件を追いかけながら事件に巻き込まれていく実にオーソドックスなハードボイルドミステリ。拳銃も乱闘もなく展開は穏やかで、事件の真相はほんの少しほろ苦く、それでいてラストは爽やか。ハードボイルドでありながら青春小説のような不思議な感覚。
こういった感覚の小説はそれほど多くないような気がします。個人的にはかなり気持ちよい。
この作品は1990年に書かれたものなんですが、作者の作品をこれまで読んでいなかったのが不思議ですね。他にもシリーズ作品があるようなので、続けて読みます。
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