2006-01-17
石田衣良「ルージュ・ノワール 赤・黒 池袋ウエストゲートパーク外伝」
読了。軽かったので一気に読んじゃった。
映像ディレクタの主人公は、カジノで知り合った男から、カジノの売上金の狂言強盗の計画に誘われる。計画は成功したかに見えたものの、仲間の裏切りによって金は全て持ち去られ、店の元締めのヤクザにも見つかってしまう。1ヶ月で金を取り戻せば自由の身、できなければ絶望的な未来が待つのみ。
シリーズ同様のリズミカルな文章で、主人公はしょっぱなから悲惨な状況なんだけど意外と悲壮感は無い。同じ池袋を舞台にしているとは言え、マコトよりも年を喰った主人公は何処か醒めていて、足取りも重く熱のない展開。それが一転するのは中盤、物語がカジノを舞台にしてから。急速に物語が加速し始めてからは、最後までノンストップで夢中に読んでしまった。馳星周さんあたりが書けばどこまでも重く書いてしまいそうな内容を、これだけ軽く書いてしまうのが面白いと言うか、実に作者らしいなぁ。
池袋ウエストゲートパークの外伝ということで、サルやタカシといった見知った面々が登場する。特にサルは主人公のパートナーで準主人公のような扱い。本編に登場したときからいいキャラクタだなと思っていたけど、やはりマコトとは違った意味で魅力的だな。結局本編の主人公マコトは名前だけで出てこないけど。
ご都合主義的で先の読めてしまう展開ではあるけれど、サラっと読むにはこの位が丁度いい。エンターテイメントだ。
« 村上春樹「スプートニクの恋人」 | ホーム | 東直己「ススキノ、ハーフボイルド」»
コメント
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://worthless.sakura.ne.jp/mt/mt-tb.cgi/201
コメントする